2018年3月31日土曜日

さくらの季節

開花したと思いったら、あっという間に満開。桜の季節は一気に駆け抜けてゆくようです。お花見に行きそびれた方も多かったかと思います。そして三月といえば、別れ…いや、企業決算のシーズンです。弊社でも株主総会用の資料のナレーションを多数ご依頼いただきました(具体的なお名前は公表出来ませんが)。

LAST EPIC

『LAST EPIC』公式サイト http://kongzhong.co.jp/lastepic/

アプリゲーム"Last Epic"続々と新キャラが登場しています。
今後の追加もお楽しみに!

母子手帳アプリ"母子モ"のナレーションは、若泉絵子さんにご担当いただきました。

それでは、次は出会いの季節、四月にお会いしましょう。

2018年3月8日木曜日

契約問題が取沙汰されています

三寒四温。まだ冷え込みは続いていますが、事務所の近くでは河津桜が花開きました。

声優プロダクションとして、コトリボイスはようやく三年目を迎えようというところ。今年の頭に、初めて本格的な新人オーディションを実施しました。これまで数回はお申し出をいただく度に実施してきたのですが、今回は知遇を得たスクール様を通じて三十人以上の方にご参加いただきました。

何分、新参のプロダクションです。ご紹介を除いて『契約を相談させてください』というお申し出を戴いたことは一度もありませんでした。志望者なんているのか…と不安でしたが、予想外にたくさんの方にお越しいただき驚きました。他のプロダクション様を受験するための予行演習という様子の方が大半でしたが、中にはぜひ弊社で一緒にやりたいという方もいらっしゃって、とても感激しました。全員合格、と言いたいところではありますが、無責任なことは出来ません。ものすごく時間をかけてスタッフとディスカッションを行い、プロの声優として活躍出来そうと判断した数名の方に内定を出しました。果たして一人でも来てくれるのでしょうか。ドキドキしながら待っています。

さて、近頃はフリーランスや芸能人の契約問題が取り沙汰されているようですね。雇い主が立場の弱い個人に対して不利な条件を押し付けているケースが問題視されているようです。今後は簡単に契約解除をして移籍出来るように、法制化されるのでしょうか。私の周囲でシェアされ、同意されていた記事を一つご紹介します。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180304-00005382-toushin-bus_all

プロダクション事業は、とてもリスクの高い事業です。時間をかけて育成し”売れっ子”になれば、ようやく投資の回収を目指すことが出来ます。その収益を次の若手の育成に回すことも出来ます。しかし、この回収以前に引き抜きに合ったり契約を解除されたりすれば、おしまいです。長い目で育てる、という事業戦略が成り立たなくなってしまう。既に商品価値の出来上がったタレントを引き抜くか、もしくは売り込むための資金を自分で用意できる者を扱うしか生き残る道はない・・以上が記事の要約です。

芸能プロダクションとは異なりますが、弊社のような声優プロダクションとしても無視できないこの問題。少し考えてみたいと思います。

先ずは一つ目の対応策『既に商品価値の出来上がった』人材を集めてしまう方法です。最近では人気の出たYoutuberを束ねるプロダクションも増えて来ましたね。引き抜きや青田買いを行わないまでも、商品価値を高めるための育成コストは負わない、これはマネジメントよりエージェント事業と呼べるでしょう。声優プロダクションの歴史を紐解けば、むしろこの形は一般的だったようです。役者は自らの考えで動き、オーディションに勝って、頭角を現す。プロダクションはバックヤードの事務作業に徹する。アイドル声優に頼ることなく収益を確保できる環境下であれば、理に適った方法と言えます。

もう一つの『売り込むための資金を自分で用意できる者を扱う』戦略、売り込むためのコストを志望者に自己負担させるモデルですね。これはスクールビジネスに通じています。養成所を運営し、そこへ通う者から月謝を得る。もしくはワークショップを開催して、参加費を徴収する。教育サービスを提供して対価を得ているわけですが、このモデルでは声優志望者自身も顧客となる面があります。こちらも既に多くの声優プロダクションが既に採用しているビジネスモデルです。

従来のモデルがこれから苦境に立たされる以上、投資を行わない”エージェント”モデルに向かうのか、むしろタレントの側にサービスを提供する”スクール”に向かうのか。弊社が選ぶのは、苦境に立たされるであろう従来のモデルです。

まずは「育てる」ということに意義を感じているので、エージェントモデルのプロダクションでは少々物足りない。スクールモデルのプロダクションは、お客さんが声優自身であったり、その声優の仕事にお金を払ってくれる方であったりと、ケジメの付け方が難しい。細心の注意を払わなければ、搾取構造が生まれやすいと思います。

結局のところ、投資の回収が困難な問題への対策はありません。他人事のように語ってはのほほんとしている理由は二つあります。先ず、そのような懸念は時期尚早ということ。売れっ子を育てていない内から逃げられる心配をしても仕方がないのです。ひとしきりのショックでも受けて、それから次のステージに進みたいと思います。少なくとも育てられる自信は付いたでしょう。もう一つは希少性。一見して合理的なスタイルは誰でも採用するもの。先に上げたエージェントスタイル、スクールスタイルのプロダクションは、既に数多く存在しています。後発が同じことをやってもダメなのです。非合理故に希少なスタイルを選ぶというのも、案外合理的な判断なのかもしれません。

どちらかと言えば”芸能プロダクション”よりも”ボクシングジム”スタイルでしょうか。ここで鍛えて、役を勝ち取り、そしてお客さんの心を掴む。目標を共有すること、マネジメントを提供する側と受ける側が同じ方向を向いていることが大切だと思います。だから、強くなるための環境をひたすら提供してゆきます。このスタイルを気に入ってくれる新人の方を迎えられると、嬉しいですね。

素敵な春をお迎えください。